スポンサーサイト


上記の広告は1ヶ月以上記事の更新がないブログに表示されます。
新しい記事を書くことで、こちらの広告の表示を消すことができます。  

Posted by ミリタリーブログ  at 

2020年12月25日

CO2マガジンの種類とそのリスクの違い

先日、CO2ボンベの危険性についてご案内したところ、まだまだ多くの方がCO2についての基本的な情報を必要とされている事を再認識しました。

弊社がご提案するCO2ガスガンは、過去からもこれからもSTGAの認証を得た製品となりますが、「認証済であることを安全を約束するフリーパスのように喧伝する事を自戒する」と共に、CO2ボンベとそのガス圧が本質的に危険を孕むものであることを前提として、一人でも多くの方に安全にお使いいただく為の方法について情報発信を続けるべきであると、前回の記事への反応を見て、改めて感じております。

さて、先日の記事の中で「閉塞型構造のCO2マガジン」について触れ、ボンベの噛み込みと合わさった時に高まるリスクについてご紹介しましたが、更にもうひとつ別の危険があります。
この点について、前回の記事をご覧になった何人かのユーザーの方やあるフィールドスタッフの方からDMやメールをいただき、「もうひとつの危険についても是非紹介して欲しい」とのご要望を頂戴しました。

今回整理して記事にすることにいたします。


************************

【前回のおさらい】

CO2マガジンの基幹構造には、大別して2種類が存在します。
※前回の記事も合わせてご覧ください。

ひとつは、
① マガジンの側面に孔が開いていて、収納されているCO2ボンベが装着後も外側から見える構造のモノ(開放型構造マガジン)

もうひとつは、
② CO2ボンベを装着後、マガジンの外側からCO2ボンベが全く見えなくなる構造のモノ(閉塞型構造マガジン)


①の開放型構造マガジンは、ボンベ固定用スクリュー装着用の穴は単にスクリューの取り付けのためのネジ穴であり、残留ガスがある状態でスクリューを緩めると確実に側面の孔から残留ガスが抜け出るため、より安全な構造と言えます。





②の閉塞型構造マガジンは、ボンベ固定用スクリュー装着用の穴はスクリューの取り付けのためのネジ穴としての役割だけでなく、(動作時のガス放出ルートを除くと)マガジン内部と外側を繋ぐ唯一の穴であるので、ボンベ固定用スクリューをマガジンから外すまで残留ガスが抜けません。




この構造の差が、所謂「ボンベミサイル」と言われる「残留ガスの放出の圧力によってボンベそのものがマガジンから勢いよく飛び出す」可能性を生みます。

この「閉塞型構造CO2マガジン」においては、前回記事でご紹介した手順を踏めば、ボンベ取り外し時に生じる「ボンベミサイル」の危険はほぼ避けることができます。

しかし、今回お話する別の危険については、残念ながら決定的な対処法がありません。



【マガジン本体の破裂】

表題の事態が実際に起こり得ます。

今回の記事のご要望を頂いた方のうちで、この危険な事態を実際に目の前で見た・自身が経験したという方がいらっしゃいました。
ボンベがマガジンから飛び出すのではなく、マガジンそのものが破断・破裂し、時には割れた破片が勢いよく飛ぶことがあります。再現してお見せすることが難しいのですが、閉塞型構造のCO2マガジンの構造を考えると、なぜ破断・破裂するか?が理解できます。

閉塞型構造のCO2マガジンは、マガジン本体の「お腹の中」にガスが溜まる構造をしています。ボンベの収納スペースにボンベを入れるとピッタリ隙が無くなるのではなく、収納されたボンベの周囲とマガジンの内壁の間に必ず一定のスペースができるように作られています。


その理由は2つ。

A.
ひとつは単純にボンベの出し入れに余裕を持たせる為

B.
もうひとつはスペースを「気化スペースとして積極的に利用することを目的としている」場合です。

先の記事にも書きましたが、閉塞型構造CO2マガジンでは「ボンベ固定用スクリューを取り付ける穴」=「ガスが外に出ることのできる唯一の孔」となります。このため、スクリューが取り付けられている限り、閉塞型構造マガジンにおいては、動作時のガス放出ルート以外にガスの出口(逃げ口)がありません。



コレの何がマズいのか?

ボンベ収納スペースに充満するガスは、マガジンの内側からマガジンを押し広げる力を加えます。この点についてはフロンガス式のマガジンでも同じなのですが、問題は「ガス圧」の差です。CO2ガスの圧力の方が遥かに強力で、そのガス圧は金属製マガジンを疲労させ変形させるだけの力があります。
金属を曲げたり変形させたりした経験がある方は実感があると思いますが、金属は緊張と弛緩を繰り返すと最も力の加わり変形する部分がやがて折れたり割れたりします。マガジン内で繰り返されるガスの充満状態もこれと同じ結果を生みます。繰り返されるCO2ガスの充満状態はマガジン本体の破裂・破断のカウントダウンとも言えるのです。


最も問題となるのは、この金属疲労によるマガジン本体の「破裂・破断がいつ起きるか?」が予見しにくい点です。
よく観察していれば、マガジンが新品時に比べ僅かに変形していたり小さな亀裂が走っていたりするのを発見できるかも知れません。それらは、破裂や破断の兆しである事には違いないのですが見落とす可能性も高く、また、マガジンの外側にそれらの予兆がハッキリと見えない場合もあるようです。

実際にマガジン破裂を経験された方にお聞きしたところ、

「ある日突然、保管していたマガジンが破裂した」

「ゲーム中にいきなりマガジンが裂けた」


等、やはり「それ」が起こるまで気づかなかったとおっしゃっていました。




【破裂リスクの高いCO2マガジン】

さらに、閉塞型構造マガジンのうち、「ボンベ収納スペース=気化スペース」として設計されているマガジンは、マガジン本体の破裂・破断の危険性がもっとも高くなります。

閉塞型構造マガジンでも、ボンベ収納スペースが気化スペースとなるように設計されていないマガジンにおいては、ボンベ装着時に僅かに漏れるガスとボンベ取り外し時の残留ガスが収納スペースに溜まるだけなので、素早く取り付け•取り外しをしている限り、多量のガスが収納スペースに溜まる状態になることはありません(既出の図2参照)。

しかし、「ボンベ収納スペース=気化スペース」として設計されているマガジンは、ボンベの装着時よりガスが収納スペース(=気化スペース)に放出されはじめます。ガスはどんどん追加放出されて圧縮が進み、単位体積当たりの圧力が増大していきます。


分かりやすくするために、理科の実験を思い出してみてください。

1気圧の空気が満量入った注射器の先を塞いでピストンを押していくと、かなり下までピストンを押し込みシリンダーの中の空気を圧縮することができます。大きな注射器があったとして超強力な力でピストンを押し込み続けると圧縮された空気の圧力がシリンダーの耐久度の限界を超え、やがてシリンダーが割れます。

あるいは、風船を想像してください。息を吹き込み続けると風船は膨らんでいき、やがて膨らむサイズに限界が来ます。でも、更にその後も息を吹き込み続けることができますよね?最後には、風船が破裂します。


「ボンベ収納スペース=気化スペース」として設計されているCO2マガジンは、注射器や風船と同じことが、CO2ボンベを装着した瞬間からマガジン内部で起こります。どれだけの量のガスがボンベからマガジンの中のスペースに放出•圧縮されてガス圧が高まるのかは、マガジンの外から計測の方法がありませんが、超高圧状態になるのは間違いありません。
金属は風船のよう大きくは伸長しないので見た目には分かりませんが、この状態が維持されるとマガジンの内側からマガジン本体素材の疲労や変形が進んでいきます。そして、ある時を境にガス圧に耐えられなくなり、マガジンの内壁の弱い部分(成形が均一でない部分や傷や歪みのある部分、ヒビなど)を起点にマガジン本体の破裂・破断が起こります。




【マガジン破裂・破断の予防策】

先にも書きましたが、決定的な予防策・回避策は残念ながらご紹介できません。

事故を予防する為の策として、
「ボンベの装着前にマガジンに「予兆」が無いか毎回確認する」
「定期的にマガジンを新品に交換する」
などが挙げられますが、いつ破裂が起こるかが分からない事を考えると、どれも次善・次々善の策で確実な方法ではないと思います。

このようなマガジン本体の破裂・破断のリスクを回避する一番の方法として、

「今後、新たにCO2ガスガン購入・入手を検討する場合は、購入事前にマガジン構造を中心に製品についてしっかりと調べたり店員さんに聞いたりして、自身がその製品を使用する環境を想定して、万が一の場合、周囲の人や自分自身に怪我を負わす可能性はないかをシュミレーションしてから購入•入手の決定すること」

を強くお勧めします。



************************

最後に、冒頭の繰り返しになりますが、CO2ガスガンの企画販売元として、新しいモデルの紹介に終始するだけでなく、多くの方にとってまだまだ未知であるCO2とそれをパワーソースとするエアガンについてのリスクなどの基本的本質的な情報を同時に発信していきたいと思います。

弊社からの情報はまだまだ十分なものとは言えないかも知れませんが、その情報が今後、ユーザーの皆様や製品を取り扱う流通各社様・販売店様、ならびに製品が使用されるフィールド様やシューティングレンジ様など全ての関係者が意識的主体的な選択するための材料の一部となり、重大な事故や事件なくCO2ガスガンの健全な発展の一助をなることを願っています。


カーボネイト製品販売元
株式会社ハッチ
  

Posted by honeyBee WAREHOUSE  at 20:25